天気が変わりやすく蒸し暑い一日でしたが
お越しいただきありがとうございました。
今日は絲室のなかでも一番大きな布類を紹介します。
絲室の布は小さな布をはぎ合わせて大きくしていくパッチワークとは違い、
大きな布を裁っては縫い合わせることを繰り返し、
どんどん小さくすることで一枚の布を完成させます。
ゴールが最初からわかっているのではなく
作っている過程では、磯部さんもどんなものができるのか
わからない、瞬間的な感性から生まれているのです。
会期中、磯部さんが在店されているときに
7~8年前に多様布を作り始めた頃の布を私が持っていたので
今作ったものと何が違うのかというのを見比べたりしながら
一緒にお話しました。
昔作ったものは線も真っすぐでピシッとしていて
最初の意気込みみたいなものを感じました。
それはそれでもちろん素敵です。
今回並んでいるものは線も質感も緩やかで
肩の力が抜けた自由な感じがしますねと話しました。
人も物も同じようでいて時間の経過とともに
少しずつ変化しています。
多様布72×90cm リネン・シルク 線は真っすぐではなく不均一です。布の出方も様々。
白い壁の前と光を透かしたときで表情がぐんと変わります。
同じ光でも朝、昼、夜それぞれに見え方が変わるのだそうです。
多様布115×131 リネン正藍染
ごくごく淡いペールトーンの水色が美しい藍染のリネンを使って。
薄手でガーゼのような柔らかな素材とパッチワークの緩やかさが
とても似合っています。
多様布48×110 シルク、リネン、コットン sold
これは初日に売れてしまったものなのですが
個人的にもとても気に入っていたので
こちらに記しておきます。
二枚仕立てになっていて目の粗いガーゼのような生地を
パッチワークしているので淡い色の重なりや
ふんわりとした素材感がとても素敵でした。
多様布 sold
こちらも初日に売れてしまったもの。
大きすぎない正方形に近いサイズ感で
かごにふわりとかけると素敵でした。
売れてしまった多様布は、それぞれに
美しいものがお好きな方が選んでくださいました。
磯部さんのパッチワークは絵を描くことに
近い感覚のように思います。
よく韓国のポシャギと比較されるけれど
ルールもルーツもまるで違うものであって
磯部さんの感性が生み出した布であるということが
今回の会期中に触れたことで
とてもしっくりきたのでした。
好きな素材があって、思うままに夢中で縫い合わせる。
その心が見た誰かの心を静かに揺さぶるのです。
絲室「窓辺」
7月22日(月)まで