匙屋 さかいあつし/瀟木子 「candy box」 3

2024.12.19  by fumi


今日は、さかいあつしさんの屋号「匙屋」とは別の作品群
「瀟木子」(しょうぼくし)の紹介を。

さかいさんの暮らす、岡山県瀬戸内市牛窓は
オリーブの産地。近隣のオリーブの間伐材の中に
匙の形を見出し、手を加えることで
木そのものの美しさを鮮やかに引き立たせています。

さかいさんは、匙屋としての制作活動の中で
生活で使う道具としての機能だけでなく、
木が本来持っている自然な形、例えば樹皮や節、曲がりなどにも
魅力を感じるようになり、ある時オリーブの枝を
そのまま活かして匙にしてみたところ、
それまでの匙作りとは違う、特別な感覚を得たそうです。


瀟木子の作品はそれぞれの樹皮の色や枝の曲がりといった木の個性を
匙の形に合うように削ったり中をくり抜いたりすることで
素材の持つ特徴を引き出していきます。

私にはさかいさんが木の歴史を含めた
リアルをさかいさんの直感や想像が
掬い取った作品と言えるのかなと考えていました。

以下はさかいさんのホームページから
瀟木子 ステイトメント(匙屋+sajiya studio ホームページから引用)

私は作歴のごく初期に木の匙を削る機会を得て社会に関わる 糸口を見つけました。
この作業は私を多いに勇気付け、以来久しく匙を削っています。

暮らしに彩りを添える道具作りを心掛けてきましたが一方で 機能に必要のない樹皮や
製作の効率を落とす節や曲がりにも 木の精妙さを感じるようになりました。
ある日、オリーブ枝を自然の形を辿るように匙に削ってみたところ、その作業が私を癒し解放することに気が付きました。

それが「匙屋」とはまた別の作品群、「瀟木子」(しょうぼくし)の始まりです。

物作りの世界でいわば匙語しか話せない私は、瀟木子においても
やはり匙の形で出会った木を 理解しようとします。
樹皮の色や枝の曲がり具合を匙語に翻訳、つまり匙の形に当てはめながら削り、
くり抜く作業を経て、私はその木の精妙さに触れることができます。

最初に答えがあるわけではありませんし取り組んでみて訳しきれない木も沢山あります。
私に翻訳を許してくれる素材との出会いでようやく瀟木子の作品は成り立っています
(引用おわり)

以下は作品の紹介です。茶匙のような形
瀟木子の作品はそれぞれ、一つ一つオイル仕上げがされています。







スコップのようなかたち。


サーバーのようなかたち。






茶杓のかたち。


大きなケーキサーバーのかたち

用途から生まれる匙屋作品ともあわせて
感じるものがありましたら、ぜひ触れてみてください。

匙屋 さかいあつし/瀟木子 「candy box」
12月14日(土)-30日(月)
会期中 24日(火)・休

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